政策金利維持でも下落(2019/5/23 南アフリカランド)

 

 

こんばんは、品川です。

 

(2019年)5月23日、予定通り南アフリカランドの政策金利が発表され、予想通り6.75%維持でした。

 

しかし現在、ランドは下落しています。

 

ひとつの、そして主要な理由は、米中貿易摩擦激化で、世界的なリスクオフということ。

 

もうひとつは、トルコリラに味をしめて、市場が高金利通貨に対して催促相場になってきたこと、でしょう。

 

後者の点は触れませんが、その代わりハニャホ総裁の声明文を読んでみたいとおもいます。

 

まずは前者の点、米中貿易摩擦から。

 

 

 

 


・米中貿易摩擦。


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状況概観として、外為オンライン佐藤正和氏のブログを引用しておきましょう。

 

 

2019年5月24日(金) 「米長期金利一時2.3%を割り込む」

ドル円は再び110円を大きく割り込み、円高懸念が再燃してきました。米中貿易摩擦を巡って、米中双方の批判も相次ぎ、協議は今後も継続されるものの合意には至らず、問題解決には相当な時間を要するとの見方が強まってきたことが背景です。昨日のNYでは、米中貿易摩擦問題の悪化から株価が大きく売られ、ダウは一時400ドルを大きく超える下落場面もあり、安全資産の債券が急上昇。長期金利は2017年10月以来となる2.3%割れまで低下して、円を買う動きを加速させました。ドル円は110円を大きく割り込み、109円46銭まで売られ、先週金曜日の水準までドル安が進んでいます。

昨日はWTI原油先物市場でも原油価格が大きく売られています。貿易を巡る米中の対立悪化で、リスク資産を回避する動きが強まったことから、WTI原油価格も前日比6%近い下げを見せ、引け値でも3ドル51セント下げています。ここ2日間の下げも5ドル22セントと、引け値では3月12日以来となる58ドル割れになっています。

引き金になったのは、中国共産党機関紙・人民日報が論説で主張した記事でした。論説では、「1年余りにわたり米国は乱暴者のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた」と強く非難しました。米国に対する非難は今回の人民日報の論説だけではなく、米国が中国製品2000億ドル(約22兆円)に対して25%の関税を発動して以来、多くの政府系メディアが揃って批判的な論調を展開する行動に出ています。このような状況の中、米中が歩み寄るきっかけさえ見つからない状態です。来月末に行われる「G20」での米中トップ会談に期待するしかありませんが、この会談さえも今後の展開次第では開催されなくなることも考えられます。

そんな中、IMFのリサーチャーらが珍しいリポートを公表したと、ブルームバーグは伝えています。リサーチャーらは23日のリポートで、「徴収された関税収入のほぼ全てを負担しているのは米国の輸入企業だ」と分析し、「洗濯機などに課されるこうした関税は米消費者に転嫁されている部分もあるが、その他は企業が利益マージンを削る形で吸収している」と記述されています。結局、「米国の消費者と中国が貿易摩擦の敗者であることは明白だ」とリポートは断じています。ブームバーグは、IMFが最大出資国である米国と意見が対立するのは珍しいと報じています。ただ、IMFトップのラガルド専務理事は、元はフランスの財務大臣であり、トランプ政権がEUに対しても貿易戦争を仕掛けていることを考えれば、個人的には違和感はありません。

ドル円は今週半ばには110円67銭まで反発しましたが、結局「日足」の雲の下限で上昇を抑えられ、再び109円台半ばまで値を下げてきました。先週月曜日のNY市場では109円02銭まで円高が進み、109円割れを回避する形で反発しましたが、再びこのレベルが意識される展開になりそうです。今回、仮に109円近辺までドル安が進んだ場合、前回同様109円台を維持できるかどうかが焦点の一つになります。明日からトランプ大統領夫妻が来日しますが、米中貿易問題の行き詰まりを、安倍首相が仲介する形で緩和できればとの期待もありますが、その可能性は極めて低く、「G20」に期待するとすれば、まだ1カ月も先の話です。米中貿易問題が新たに悪い局面入りしなければいいと思いますが、しばらくはこの問題が相場のカギを握っています。本日のドル円レンジは109円~109円90銭程度を予想します。

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今年も投資の神様ウォーレン・バフェット氏の生の声を聞きたくて、今月4日、世界中から多くの株主がネブラスカ州、オマハに集まりました。株主総会は例年通り7時間におよび、バフェット氏は株主の質問にユーモアを交えて答えたそうです。そのバフェット氏、今年8月30日で89歳になります。さすがに高齢であるため、ポスト「バフェット」が常に関心事の一つになります。なにしろ時価総額で世界5位、手元の資金も1000億ドル(約11兆円)を有するバークシャー・ハザウェイの経営を担うわけですから、その行動の一つ一つが世界の株価にも影響します。今年の総会で、その後継者の名前がほぼ絞られたようです。アジット・ジャイン氏67歳と、グレッグ・アベル氏56歳がその候補です。バフェット氏が二人の才能を高く評価していることは当然ですが、どちらが後継者に選ばれるのか、そして、不世出の投資家がいつ引退するのか、興味が尽きません。良い週末を・・・・・。

 

 

バフェットの件も興味深いですが、いまはそんなこと気にしているヒマはありません。

 

 

 


・ハニャホ総裁声明文。


 

つづけて、今回(2019/5/23)、政策金利6.75%維持を決定したSARBハニャホ総裁のステートメントをみてみたいとおもいます。(全文はこちら

 

いくつか小見出しつけて読んで行きますね。

 

直近の状況だが、世界経済は幾分回復したようにみえるが、不況リスクは残っている。原因は米中貿易摩擦だ。

国内では、やはりエスコム問題、あと鉱山労働者のストライキは依然として残っている。

売り手買い手ともに、不信感が景況感に重しとなっている。

インフレターゲットは、そこそこだ。

Over the past few months, global growth has rebounded somewhat, but significant downside risks remain, in particular from threats to the global trade regime.
Domestically, electricity supply constraints and a protracted strike in a major gold mine contributed to a weak first quarter performance. Business and consumer confidence continue to weigh on the near-term growth forecast. Recent monthly inflation outcomes have remained around the mid-point of the inflation target range, in part due
to weak demand and positive inflation data surprises. The medium-term inflation outlook has moderated slightly.

 

この記事でお伝えした通り、南アフリカのインフレターゲットは、3%から6%です。

 

現在は、4.4%。

 

3月の記事では、4.1%でした。すこしインフレ進んだのは、いいことなのか?

 

 

この記事に従ってみると、インフレ率5%がSARBの危険水域で、利上げに踏み切る予兆になりそうです。

 

 

 

 


・米中貿易摩擦への懸念。


 

続きを読みましょう。

 

米中貿易摩擦は、世界経済の重しになっている。関税引き上げは、地球希望の価値連鎖(バリューチェーン)を崩壊させ、国際貿易を損なうに違いない。

Trade tensions have escalated between the United States and China, weighing on market confidence. Further tariff increases could disrupt global value chains and further reduce global trade.

 

要するに保護主義に走るな、ってことですね。

 

 

 

 


・ランドは過小評価されている。


 

つづきです。

 

ランドはリスクオン時の通貨だ。

いまは米中貿易摩擦で売られているけれども、それ固有の価値条件をもっていることも忘れてはならない。

こういうことも踏まえ、MONETARY POLICY COMMITTEEは現在、ランドは過小評価されていると判断している。

The rand has benefited from improved sentiment towards riskier assets but will continue to be affected by idiosyncratic factors such as domestic growth prospects and policy settings.
Since the March MPC, the rand  the rand has appreciated by 1.5% against the US dollar, by 2.5% against the euro, and by 3.1% on a trade-weighted basis. The implied starting point for the rand is R14.40 against the US dollar, compared with R14.00 at the time of the previous meeting. At these levels, the QPM assesses the rand to be slightly
undervalued.

 

 

 

 


・3対2で決めた。


 

結論部分です。

 

インフレ率は現在、そこそこ穏やかだと認識している。

インフレ率の上昇リスクとしては、やはり、電気と水道だろう。

以上の理由から、MONETARY POLICY COMMITTEEは、政策金利を6.75%維持で決定した。5人ちゅう3人の意見である。

のこり2人は0.25%落とすことを提案していた。

The overall risks to the inflation outlook are assessed to be more or less evenly balanced. While there is scope for further moderation in meat and services prices, oil prices are expected to remain elevated and global food prices appear to have bottomed out. Electricity and water prices, among other administered prices, present additional upside risks.
Against this backdrop, the MPC decided to keep the repurchase rate unchanged at 6.75% per year. Three members preferred to keep rates on hold and two members preferred a cut of 25 basis points. The Committee assesses the stance of monetary policy to be broadly accommodative over the forecast period. Any future policy
adjustments will continue to be data dependent.

 

政策金利落とす意見もあったのですね。

 

不況なんでしょうね、やっぱり。

 

・・・・・

 

それでは、今回はここまでです。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。m(_ _)m

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