(出典:Al Jazeera)
こんばんは、編集長です。Al Jazeeraのドキュメンタリー「サハラ砂漠の孤児(Orphans of the Sahara)」を見て辿っています(第1回目、第2回目、第3回目、第4回目)。
もちろん本連載をとおして「国家とは何か」を説教しようなんて押しつけがましいことは考えていません。ただ、Al Jazeeraのドキュメンタリーをみなさんに楽しんでーといったら語弊がありますがー欲しい、というのが本連載の目的です。
結局、このAl Jazeeraのドキュメンタリーを見て切実に私などが感じたのは、やはり「国家とは軍事力だ」ということだと思います。
イスラム国が依然、世界を脅かしているのは変わりがないでしょう。しかし、泥まみれのトヨタ製ジープや、ドラッグを密売して手に入れたセカンドハンドの武器で、アフリカやアラブ世界で起きている戦闘などというものは、先進国の巨大兵器で一瞬にして抹消されてしまうものに違いありません。
本ドキュメンタリーで登場する先進国はフランスですが、その巨大な戦闘機が出て来た時、アザワド、アルカイダ、マリの3つ巴の戦闘が、まるで子供の喧嘩のように見えました。
それが私にとっての、このドキュメンタリーの教訓だったと言えます。
(以下、画像出典は、Al Jazeeraの「サハラ砂漠の孤児(Orphans of the Sahara)」です。)
・崩壊に向けて。
ビラル・アグ・アチェリフ
アザワド大統領。
連載第2回目でご紹介したビラル・アグ・アチェリフ(Bilal Ag Acherif)氏です。
あのとき(第2回目)では土やけた顔をしていましたが、いまや非公認国家ながら、アザワドの大統領に成りました。トゥアレグ族の希望の星として、国際的なインタビューにも答えます。
「ウランなど土着の富を、われわれトゥアレグ族は取り戻すのだ」と高らかに宣言します。
しかしこれが、アザワドの頂点でした。
・アルカイダに降伏。
首都ガオ、大統領官邸の
国旗がむしり取られる。
アザワド陥落の瞬間。
アザワドの建国に危機感を募らせるマリやアルジェリア政府は、対抗勢力のアルカイダに資金提供を始めます。
そして軍事力をつけたアルカイダは、間もなく、アザワドの首都ガオを陥落させました(上掲画像)。
アザワドの壊滅した瞬間です。
・しかしフランスも出撃。
フランスの戦闘機。
しかし、アルカイダは更にマリに領土を拡大して行きました。
これに業を煮やしたのが、かつてマリを植民地化していたフランスでした。
マリ内乱の鎮静化という名目ですが、トゥアレグ族土着のウラン鉱山を初めとして、フランスはマリに膨大な利権を抱えていたのです。
巨大な戦闘機が出撃します。
ここまでドキュメンタリーで見て来た泥まみれのジープや、安っぽい武器の映像が、一気に吹き飛ぶような光景です。
・物語の終わり。
フランスの軍事介入を、
心から喜ぶ
マリの人たち。
巨大な最新鋭戦闘機に、泥だらけのトヨタトラックの荷台でドンパチやっているような軍隊が勝てるはずもなく、アザワドを倒したアルカイダも、フランス軍によって、あっという間に制圧されてしまいました。
こうして、アザワド、マリ、アルカイダの3つ巴で繰り広げられた内乱は、まるで赤子の手でも捻るかのように、先進国フランスの介入によって終結させられたのでした。
マリは、嘗ての植民国フランスにより、救われたのです。
・むすび。
これで、本連載はおしまいです。
とくに主義主張があって始めた連載ではないのですが、目の当たりにしたのは、やはり日本を含め先進国の軍事力の巨大さだったと思います。
いくら北朝鮮がミサイルを打ち上げても、イスラム国がテロで脅しても、圧倒的な軍事力の差を先進国は持っているのだという事実を、本ドキュメンタリーで確認したような気がします。
みなさんは、どうお考えでしょうか。
最後に、ビラル・アグ・アチェリフ氏は、まだ存命だということだけお伝えしておきます。彼は「大統領」に就任した時、まだ30代の若い指導者でした。
・・・・・
それでは、本連載はここまでです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。m(_ _)m
ー
コメント