ドル/円が75円台だった頃を覚えていますか? その2

(画像出典:山川出版社)

こんばんは、品川です。2010年から2012年までドル/円が大低迷していた頃を振り返っています。2017年においてアナリスト達がドル/円108円そこそこで「円高騒ぎ」を起こしていることに対するアンチテーゼの記事です。

 

前回、80円台前半だったドル/円に業を煮やした日銀白川総裁(当時)による「過去最大級」の為替介入が行われた所までお話ししました。しかし、2010年9月に行われたその介入後、ギリシア危機東日本大震災と、日本経済は未曽有の大危機に巻き込まれて行きます。

 

今回、連載第2回目では、その大危機の直前、嵐の前の静けさをお伝えしようと思います。

 


・嵐の前の静けさ。


(画像出典:外為オンライン)

 

結局、2010年9月の日銀為替介入は実を結びませんでした。ドル/円はどんどん反落して行き80円台を低迷することに成ります。以下は、その当時を伝えるロイターの記事です。

 


「ドル80円前半、介入騒ぎで急騰後に反落」
午後3時のドル/円はニューヨーク市場午後5時時点とほぼ変わらずの80円前半。早朝15年ぶり安値を更新して介入への警戒が強まった午前9時ころ、ドル/円は突然1円以上急騰した。
市場では当初介入との見方も出たが、その後はシステムの誤作動や誤入力など様々な憶測が飛び交い、介入は実施されていないとの見方が広がった。
ドル/円は、連邦公開市場委員会(FOMC)での金融緩和を意識して早朝に80.21円まで売られ、15年ぶり安値を更新した。しかし、水準感から政府・日銀の為替介入も意識され、その後は下げ渋って80円前半でもみあっていた。
ドルが急騰したのは午前9時ころ。直前まで80.40円付近で推移していたが、1分ほどの間に81.60円前後まで1円以上急騰した。80.41円の次にいきなり80.70円がつくなど値の飛び方が極端で、市場には為替介入の思惑が広がった。
午後に入って、「米債償還にからむ円転玉で上値が重くなった」(証券会社)との指摘もあり、ドルは再び80円前半まで反落。午前9時台の上昇分を全て相殺する格好となった。介入騒ぎでドル・ロングになったインターバンクの投げ(ドル売り)も加わり、ドルの上値が抑えられたという。
(ロイター2010-11-01 16時52分:一部文章改変済)

 

こんな感じで、不発に終わった為替介入の後も強迫観念としての介入は残っていて、当時のトレーダーは皆おっかなぶっくり、ドル/円を叩き売りして行ったのです。

 


・円サイドからの勝利宣言もあった。


ドル/円は下落して行きました。何とかそれに歯止めをかけたい政府関係者は、一方的に円高ストップの勝利宣言をした時もありました。以下はロイターの文章です。

 


「10月前半で一方向的な円高局面は終了した=渡辺元財務官」
国際協力銀行の渡辺博史経営責任者(元財務官)は25日、都内で記者団と懇談し、最近の円相場について、10月前半で一方向的な円高局面は終了したとの見方を示した。
渡辺氏は最近の円高が「円は急激に価値が減らないため」に発生したと分析。ユーロは政策金利の引き下げや財政問題への懸念、米ドルは追加緩和の可能性などが下落の手がかりとなるが、日本は日銀の追加策なども限られるとして「下がるリスクがない安全通貨として、とりあえず(投資家の保有資産に)あってもいい」状況があったと説明した。
そのうえでドル/円が「長い目で見ると、日本の総合的な国力などで、これから(1ドル)65円とか70円とかまで(円が)買い上げられると市場は思っていない」として、「10月前半で一方的な円高バイアスは終わった」と評した。「市場がいろいろな経済指標、広い意味でのファンダメンタルズに応じて(為替相場が)動き始めた。これまでのように、何が何でも円という感じは終わった」という。
その背景を渡辺氏は「国際的な投資家が保有する(資産に占める)ドルやユーロのオーバーウエイトの解消が、だいたい一巡したとの印象。夏前から処分が始まって、無理やり一方的に売らなければいけないというところから、先行きを見てどちらにしようかと判断できるようになった。処理が進んだということだろう」とした。
(ロイター2010-11-25 18時21分:一部文章改変済)

 

しかし、渡辺氏の思惑通りに市場は動いて行きませんでした。

 

つづきます。

 

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