(出典:Al Jazeera)
こんばんは、編集長です。アラブの春(Arab Spring)というのがありました。SNSが大活躍した現代的な革命劇でした。直近でも、ジンバブエで起こったムガペ大統領へのクーデターもその流れをくむ出来事だと言えるでしょう。
しかし皮肉なことに、アラブの春は、シリアやイラクにも広がることによって、イスラム国樹立を促してしまいました。
個人的ですが、イスラム国に興味を持ち記事をかかせて頂いたのは、このような流れからでした。
国家とは何でしょうか。
いま、アラブ世界で起こっていることは、改めてこういった深い問いを、私たちに投げかけてきているように思えます。
本連載で、アルジャジーラの興味深い番組「サハラ砂漠の孤児」を観ながら、ちょっと考えてみましょう。
連載第1回目です。
・アルジャジーラ(Al Jazeera)。
アラビア半島の東端にある小国カタールの首都ドーハに、アルジャジーラ(Al Jazeera)という放送局があります。
CNNに代表される西欧メディアとは違った切り口で、世界のニュースを配信することで有名です。
アルジャジーラの番組の幾つかは、You Tubeでも観ることができます。
そのなかで今回、取り上げたいのが「サハラ砂漠の孤児(Orphans of the Sahara)」というエピソードです。
主役は、トゥアレグ族(Tuareg)という、自分の国家を持たない民族です。
彼らは長年、リビアのガダフィー大佐の傭兵として「出稼ぎ」状態にありました。
しかし、くだんのリビアの春でカダフィー政権が崩壊したため、故郷に帰されることに成ってしまったのです。
けれども、帰還した先は、もとから彼らの故郷ではありませんでした。
彼ら(トゥアレグ族)には、国など無いのですから。
そこで一念発起、彼らは、自分たちの国家を作ろうと動き始めます。
なんという発想の転換でしょうか。
果たして彼らの企ては成功するのでしょうか。
早速、番組を見てみましょう。
(以下、出典はすべてアルジャジーラです。)
・ガダフィー政権が崩壊し、困った民族がいた。
アフリカ大陸の北西地域、ちょうど、アルジェリア(ALGERIA)、マリ(MALI)、ニジェール(NIGER)という3か国に囲まれた地域(上の牛乳をこぼしたような箇所)に、トゥアレグ族(TUAREG)という民族が居ます。
彼ら(トゥアレグ族)に居場所など無かったのですが、長年、アルジェリアの右隣リビア(LIBYA)のガダフィー大佐が、積極的に傭兵を受け入れていたため、そこに出稼ぎに行くことで、それなりの生活をすることができていました。
しかし、2011年10月20日にガダフィ大佐が殺害されたことにより、トゥアレグ族はリビアから強制送還されることに成ってしまったのです。
しかも実費で。
・過積載状態でニジェールに帰還。
トラックに過積載状態で、故郷のニジェールにトゥアレグ族のひとたちが帰って来ました。
彼らはみんなリビアのガダフィー大佐のもとで、傭兵の仕事をしていました。
みんな、出稼ぎ労働者だったのです。
ニジェールだけでなく、マリや、アルジェリアにも、この過積載状態で、多くのトゥアレグ族のひとたちが帰って行きました。
・心の底からガダフィー大佐の死を悲しむ。
モハメドハサン(Mohamed Hassan)君です。ガダフィー大佐のところへ傭兵として、出稼ぎに出ていました。
ハサン君は言います。「自分はナイジェリア出身だけど、リビアのことしか知らない。もう、どうやって生きて行けば良いのかわからない。」
他の帰還者たちも、言います。「リビアからニジェールに帰って来ても、何もすることがない。おれたちは ”サハラ砂漠の孤児” だ。」
「こんなところに帰って来たくなかった。」そうハサン君は、遠くを見ながら呟きます。
みんなガダフィー大佐の死を心から悲しみ、故郷ニジェールに帰されたことを恨んでいるのです。
・・・・・
・つづきます。
という感じで、今回はここまでです。
興味を持っていただけるよう、工夫して連載したいと考えています。
何卒、よろしくお願いいたします。
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それでは。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。m(_ _)m
本編は、つづきます(つづきはこちら)。
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