今回(2018/3/28)の利下げとSARB:その5「土地収用問題には言及なし」。

(出典:Wikipedia)

 

こんばんは、品川です。SARB(The South African Reserve Bank 南アフリカ準備銀行)が、(2018年)3月28日、0.25ポイントの利下げを敢行しました。

 

本記事では、その背景と成ったファンダメンタルズを、ハニャホ現SARB総裁の声明を中心に、辿っています。

 

 


・土地収用問題への言及は無し。


 

land expropriation」だとか「land seizure」だとかいった表現をされる、「土地収用」問題ですが、帝国主義イギリスによる1910年南アフリカ連邦設立の傷跡、要するに南アフリカ植民地化の傷跡を大きく引きずる問題です。

 

JETROの佐藤千鶴子さんの説明が分かりやすいです。2013年、南アフリカで土地収用問題研究会に参加されたときの記事のようです。

 

今年2013年は、南アフリカにおける人種隔離とアパルトヘイト体制の基礎をなした「原住民土地法」(1913年)制定から100周年にあたる。アパルトヘイト体制終焉へ向けた法制度改革の一環として1991年に撤廃されるまで、同法は「原住民居留地」(後のホームランド、バンツースタン)として政府が指定した国土の約13% 以外においてアフリカ人 が土地を所有したり、購入したりすることを禁止していた。居留地における農業生産の停滞と出稼ぎ労働制度確立の原因、さらには領土的な人種隔離を実現するために行われた強制移住の法的基盤として、同法は20世紀に南アフリカの多くの黒人が被った苦難の源であった。

 

ようするに、ここで言及されている「原住民土地法 Land Act」(1913年)が憎きアパルトヘイト旧体制の一部だとして、今こそ根こそぎにしてやろう考えこそ、「土地収用」問題のわけです。

 

 


・ANCの決定。


 

ANC生誕106周年記念党大会と言えば、われらが(?)ラマポーザ新大統領が誕生したイベントでしたが(この記事この記事で言及しています)、実は本大会で、ラマポーザ新党首の下、ANCは爆弾発言をしていました。

 

それが、憎きアパルトヘイト旧体制の一部「原住民土地法 Land Act」(1913年)の名残りである白人の土地占有(ブルームバーグによれば”95%の国の富を手に入れる10%の人種”による土地占有)を一掃してしまおうという、「土地収用(land expropriation/seizure)」だったわけです。

 

声明文を見てみましょう。今度は、ANC生誕106周年記念党大会ですから、2018年の話です。

 

1913年の原住民土地法から105年が経った。南アフリカの黒人層から土地、財産、家畜を奪った諸悪の根源だ。この悪法の影響は今日も続いている。

It is 105 years since the 1913 Land Act [… It was] central to the deprivation of black South Africans of their land, assets and livelihoods. The effects of these laws continue to be felt today.

 

国民会議(ANC)は、勤勉な黒人層が土地を持てないことが、彼らの貧困、苦難、失業、社会的孤立の原因であると深く認識している。

The National Conference underlined how profoundly the dispossession of the indigenous people of this country of their land has contributed to poverty, hardship, unemployment and social dislocation.

 

既にANCは、土地収用を、白人層に対する対価無く、行うことの必要性で満場一致に至っているのだ。

There was overwhelming support at the Conference that the ANC must pursue the expropriation of land without compensation.

 

こういう文章見ると「ANCってやっぱり共産党系なんだな」と思いますよね。(この記事この記事この記事あたりもご覧になってください。)

 

 


・こういった事情にハニャホ総裁は触れなかった。


 

国外投資家から紛争の火種として非常に中止されている、この「土地収用」問題ですが、やはり政治的な問題だからでしょうか、ハニャホ総裁の口から語られることはありませんでした。

 

ただ、国外政治については能弁で、トランプ保護主義やらムーディーズやらについてはペラペラ語っています。

 

次回、そういった点に触れてみましょう。

 

・・・・・

 

それでは、今回はここまでです。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。m(_ _)m

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