1月10日:ズマの先手「State Capture Commission」とは何か。

(ANC党旗:Wikipedia)

 

こんばんは、品川です。2018年1月10日、日本では1日が終わろうとしていますが、南アフリカでは7時間遅れなので、まだお昼を回っているところです。そして本日は、この回でお伝えしたANC幹部会合で、ジェイコブズマ(Jacob Zuma)大統領の早期退任が実現するか、というところに大きな焦点が合わされています。

 

既に市場では、フェイクニュースに踊らされた混乱があったようで、本件の注目度の高さが窺われます。

 

他方で現在(2018年1月10日19:30)、ランドは売りたたかれており、催促相場とドルや円の下落のトレンドが合わさったような状態です。

 

さて、ズマ大統領は、やはり権力への執着を見せ、今回1月10日(水)に先だった9日の火曜日、先手に打って出ました。それが本記事題名の「State Capture Commission」の設立です。

 

 


・State Capture Commissionとは何か?


さて問題の「State Capture Commission」ですが、意味を汲み取れば「国家横領捜査委員会」とでも訳せると思います。

 

国家横領(State Capture)」は、本件に限って言えば、グプタ兄弟とズマ大統領との関係についての問題です。グプタ兄弟(The Guptas)は、ズマ大統領に取り入る(こびへつらう)ことにより友人関係を結び、南アフリカでのビジネスを有利に進めて来たと言われています。逆に言えば、ズマ大統領もズマ大統領で、国益を私人関係において横流ししていたわけですから、文字通り「国家横領」の罪に問われることに成ります。

 

本件については、南アフリカのオンライン日刊紙「Daily Maverick」が興味深い論考を載せています。

 

タイトルは「ANC生誕106周年記念党大会での地殻変動:ズマの先手と成った国家横領捜査委員会(ANC’s 106th: As tectonic plates are shifting, Zuma pulls State Capture Commission move)」

 

ANC内での地殻変動は続いている。昨夜(1月9日火曜日)のズマ大統領による「国家横領捜査委員会」の設定は、その兆候のひとつだ。

The ground is shifting to favour the party’s new leadership, and President Jacob Zuma’s late-night announcement on Tuesday that he’ll be appointing a state capture probe is one sign of that.

まさしくそれはズマによる悪あがきの爆弾投下だった。「国家横領捜査委員会」は、Raymond Zondo氏によって取り仕切られる予定である。

Zuma’s boldness was apparent in another late night bombshell statement on Tuesday, when he announced he had decided to appoint a commission of inquiry into state capture, headed by Deputy Chief Justice Raymond Zondo, as recommended by former public protector Thuli Madonsela in 2016, and as ordered by the North Gauteng High Court last month.

 

このRaymond Zondo氏という人物は、南アフリカでもかなりの権力者である様子です。別記事でお伝えできたら、と思います。

 

 


・しかし知りたいのはズマの思惑。


(官報:クリックで移動します)

 

 

しかし、私達が知りたいのは「国家横領捜査委員会(State Capture Commission)」の設立におけるズマ大統領の思惑です。

 

それについて、上記Maverick紙は次のように述べています。

 

「国家横領捜査委員会」を設定した1月9日のタイミングは、ズマが、10日のANC幹部による退任要求を交わすための手段の一つとしか考えられない。

ズマ大統領の退任は、今週末(2018年1月13日)の、ラマポーザ氏の党首就任式に言及されるという見方もある。

The timing of Zuma’s announcement is, however, everything. It comes just before the first meeting of the ANC’s national executive committee (NEC) elected at last month’s conference. It’s set to happen at the East London Convention Centre on Wednesday.10

It’s generally expected that the issue of Zuma stepping down would be touched on at the meeting, but the general feeling is that this now might take the thunder out of newly-elected ANC president Cyril Ramaphosa’s first birthday rally address.

 

意訳しました。

 

要するに、ズマ大統領の今回の先手(「国家横領捜査委員会」設立)は、権謀術数的な観点からは、成功するかも知れない。本日10日にビッグサプライズが起こる可能性は、ズマの先手のせいで低く成ってしまった、という観測が為されています。

 

正しくズマ大統領の最後の悪あがきです。

 

果たしてどうなるでしょうか。

 

もう少し状況をみつめていましょう。

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