(出典:Wikipedia)
こんばんは、品川です。SARB(The South African Reserve Bank 南アフリカ準備銀行)が、(2018年)3月28日、0.25ポイントの利下げを敢行しました。
本記事では、その背景と成ったファンダメンタルズを、中銀総裁の声明を中心に、追ってみたいと思います。
もう連載第4回目になってしまいましたので、核心部分を先に掴んでおきたいと思います。つまり、「どうしてハニャホ総裁は利下げを行ったのか?」ということです。
・経済活動の余地を与えたかった。
アメリカの相場などを見ているとFRBが利上げをしないと分かると株価がドーンと上がりますよね。
政策金利は、市中銀行(ようするに普通の銀行)に、中央銀行がお金を貸し出すときの金利です。
このため、政策金利が低ければ、市中銀行がたくさん中央銀行からお金を借りて、それを企業に貸し付け(融資し)、金利を得ようとします。
こうして政策金利が低ければ、市中(ようするに国の中)にお金がたくさん出回ることに成りますから、これは明らかにインフレーションですよね。
インフレーションは、(市中)銀行にせよ、企業にせよ、社員にせよ、家庭にせよ、それぞれたくさんのお金を手に入れることに成りますから、結局、国内では好景気の様相を呈します。
しかし、それは国内でのみの話で、物価が上昇するのと同様に、外貨の価値も上昇します(特定の物と交換される外貨の量は変化しないわけですから)。つまり、自国通貨安です。それでも、自国産業で外国に買ってもらうものがあるなら、つまり輸出国であるなら、自国通貨安は傷が浅いのですが、南アフリカのような輸入国(前回参照)の場合、国内インフレは、ただの自国通貨安、ランドの価値低下でしかないわけです。
こういうわけで、ハニャホ総裁ら代々のSARB総裁は、行き過ぎたインフレを抑止しようと努めて来ました。
しかし現時点(2018年3月28日)では、南アフリカのインフレは、行き過ぎたものではないようだ。ならば、もうちょっとインフレを刺激して、自国の景気を進展させよう・・・。
これが、今回の利下げの動機だったと言えます。
・ハニャホ総裁の声明文から。
以上の話をハニャホ総裁の声明文から、読み取ってみましょう。
声明文の最後の部分です。クライマックスですね。最初に言え、とツッコミを入れたくなりますが。
金融政策委員会(Monetary Policy Committee =SARBの会合こと)は、こうして、次の見解に至った。
インフレ展望の改善(つまり行き過ぎたインフレ=自国通貨安に成らないこと)、そしてそれに対するリスクが緩和されていることから、もう少しインフレ発生の余地があり(つまり政策金利を落として国内にインフレを発生させてもよく)、たとえインフレを更に誘発させたとしても、それは、現在の抑制されたインフレ軌道を間違った方向に導くことにはならない、と。
この見解から、金融政策委員会は、現行の政策金利を、6.75%から、25ポイント下げて、6.5%に引き下げることに決定した。
7人の委員のうち、4人がこの決定に賛成し、3人が現状維持(6.75%)を指示した。
The MPC was of the view that, in light of the improved inflation outlook and the moderation in risks to the forecast, there was some room to provide further accommodation without undermining the inflation trajectory or the downward trend in inflation expectations. Accordingly, the MPC has decided to reduce the repurchase rate by 25 basis points to 6.5% with effect from 29 March 2018. Four members preferred a reduction while three members preferred an unchanged stance.
ギリギリの決定(4対3)だったにせよ、今回の利下げは、南アフリカ経済が好調であることの延長線上に起こったことなのですね。
このため、ランド投資家のかたがたは、特に心配することはありません。
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それでは、今回はここまでです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。m(_ _)m
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