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こんばんは、品川です。高金利通貨に対するFX会社の宣伝は未だ勢いが衰えていません。それもそのはず、スワップポイントこそ、恐らくは、誰が何と言おうと、FXの最大の魅力なのですから。
いまも昔も不安を煽(あお)ることで注目を集めようとしているアナリスト、ブロガー、FX業者は後を絶ちません。残念ながら本記事も、読み方によっては、その部類に含まれてしまうのかも知れません。
できる限りそう成らないよう、客観的に、題名の件「なぜ南アフリカランドを選ぶべきなのか」を本記事でお伝えできたらと思います。
・何と比べているのか?
(画像出典:外為どっとコム)
「南アフリカランドを選ぶべき」と言っても、FXで取引される全通貨に対して南アフリカランドの優位を主張するつもりはありません。
ひとによってはポンドが得意でしょうし、ひとによっては豪ドルが得意でしょう。
そう、豪ドルです。かつては豪ドルが独り占めしていた地位、高金利通貨の地位を、本記事を通して南アフリカランドに託そうとしているのです。
そう言った時、対抗馬として考えているのは、トルコリラとメキシコペソです。
上掲の外為どっとコムさんの画像を見るまでもなく、いまや南アフリカランドに取って代わる勢いで台頭(たいとう)して来ているのがトルコリラとメキシコペソです。
南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソ、以下にこの3通貨を高金利通貨3強と呼ぶことにしましょう。
・政策金利の観点から
(画像出典:外為どっとコム)
まずは、上掲画像から見て欲しいと思います。各国の政策金利の推移を表しています。2017年8月の時点で、高金利通貨3強、南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソの政策金利が抜きん出ていることは誰の目にも明らかです。
見にくいと思いますので、拡大させて頂きます。
トルコリラが8%で1位、メキシコが7%で2位、南アフリカランドが6.75%で3位、と成っています。
これら3強は、4位中国4.35%、というよりも5位NZドル1.75%以下を大きく引き離しています。
・豪ドルの淪落ぶりには目を見張るものがある
(画像出典:外為どっとコム)
上掲画像は、2008年リーマンショックの辺りから、2017年までの豪ドルの政策金利の推移を表しています。政策金利に限った話ですが、豪ドルの淪落(りんらく)ぶりには目を見張るものがあります。
2008年時点では、豪ドルの政策金利は7.25%もありました。先に述べたメキシコの7%を上回ります。
実際、2008年当時、高金利通貨と言えば豪ドルでした。
確かに、南アフリカランドの政策金利11%というのも飛び抜けていましたが、豪ドルの持つ流動性(りゅうどうせい)つまり値動きの活発さと、政策金利つまりはスワップポイントの高さは、豪ドルをして初心者向けどころか最強通貨の名を欲しいままにさせていたのです。
だから、2008年ごろの豪ドルの政策金利の発表は、アメリカのFOMCと同じくらいの緊張感があったのです。
しかし2017年はどうでしょうか。豪ドルの政策金利は1.5%です。アメリカの1.25%とほとんど変わりません。
ひとはここから何を学ぶのでしょうか。
決して、豪ドルを通過とするオーストラリアの経済状況が悪いということではないでしょう。
むしろ事態は逆で、オーストラリアは今や真に先進国の仲間入りをしつつある、いや既にしているのです。
こんなことは文化そのほかのレベルで言えば分かり切ったことでしたが、豪ドルの政策金利の下降は、いまや経済においてもオーストラリアが先進国の仲間入りを果たし終えたことを良く表しています。
政策金利は、カブト虫を呼ぶためのミツみたいなものです。自国の通貨を買ってもらえない、つまり経済的に弱い国が、力技で外国から自国通貨を買ってもらうようにするのが政策金利と言えます。
もちろん政策金利の上昇は、自国の金融上、銀行の貸し渋りを誘発するものですから諸刃の刃(もろはのやいば)であることには変わりありません。
しかし、金(きん)のような安全資産として買ってもらうにせよ、自国で買い物をしてもらうにせよ、経済的に弱い国は自国の通貨を買ってもらう理由が無いので、政策金利というカブト虫を呼ぶミツを使って、カブト虫=外国に自国通貨を買ってもらうしかありません。
オーストラリアの政策金利の淪落(りんらく)は、それをする必要がなくなった、つまり政策金利というミツを使って外国を呼ばなくても外国がオーストラリアにお金を使うように成った、それだけオーストラリア経済が独り立ちをした、という良いことを表しているのです。
総じて、政策金利の下降は、特に高金利通貨に関して言えば、良いことです。FXトレーダーにとっては「チョー迷惑」なのですが・・・。
次回につづきます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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