2018年の南アフリカランドを占う。その1

(「シリルラマポーザANC新党首」
出典:Wikipedia)

こんにちは、品川です。2017年も暮れの12月、低調を続ける南アフリカランドに救世主が現れました。シリル・ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)副大統領そのひとです。

かなり長期化してしまった南アフリカランド低調の原因は、主にファンダメンタルズ、要はジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)現大統領の無思慮なポピュラリズム(大衆迎合主義)にありました。(この記事をご参考にしてください。)

海外の投資家からは、その無思慮さが財政の観点から懸念され、南アフリカの国債がジャンク債に格下げされたことは周知のとおりです。

しかし、そこに現れた希望の光が、シリル・ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)氏なのです。

本連載では、2018年こそランド復活の年だという期待の意味合いを込めて、ラマポーザ氏を中心に、南アフリカ政情の基本を整理しておきたいと思います。

連載第1回目です。


・ドラミニ・ズマ氏 vs ラマポーザ氏。


(「ドラミニ・ズマ氏」出典:Wikipedia)

(2017年)12月18日のアフリカ民族会議(African National Congress=ANC)党首選で、ジェイコブ・ズマ大統領の元妻ドラミニ・ズマ(Dlamini-Zuma氏(上掲画像)を破り、新党首に輝いたのがラマポーザ氏でした。

ラマポーザ氏の得票数が2440票に対し、ドラミニ・ズマ氏の得票数が2261票

非常に僅差だったと言われています。

アフリカ民族会議(African National Congress=ANC)は、アパルトヘイト政策の撤廃に伴う1994年の憲法改正以来、ずっと南アフリカの与党に君臨している政党です。

もちろん、初の南アフリカ黒人大統領ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela 1918-2013)氏も、ANCの議長(党首)でした。

よって、ANCの党首に選ばれるということは、次期大統領の最有力候補だということを意味します。

諸悪の根源と言ったら何ですが、ジェイコブ・ズマ大統領の任期が終了するのが2019年。まさに、それに取って代わって南アフリカ経済の立て直しを期待されているのがシリル・ラマポーザ氏なのです。


・元妻なのにズマ?


ロバート・ムガペ元大統領(左)と、

その妻グレース・ムガベ(右)。

(出典:Wikipedia)

ところで、ラマポーザ氏の政敵、ドラミニ・ズマ氏ですが、何だかジェイコブ・ズマ氏の「元妻」というのが気になりませんか?

またこれに重なって思い浮かべられるのが、2017年11月15日にジンバブエで起こったクーデターです。

ジンバブエで問題に成っていたのは、当時の大統領ロバート・ムガベ(Robert Mugabe)が41歳年下の愛妻グレース・ムガペGrace Mugabe)に権力を移譲しようと公私混同甚だしい所業でした(上掲画像)。

これは今回の南アフリカでのジェイコブ・ズマ大統領と、その元妻ドラミニ・ズマ氏との関係に似ていますよね。というか、そっくりです。

しかし、ドラミニ・ズマ氏に限って言えば、そこまで酷くないようです。

彼女は「小学校中退」のズマ大統領とは違い教養があり、大学の学部時代は動物学と植物学を専攻、その後、医学に転じ、イギリスにも留学しています。そして医師としての経験を積んだのち、マンデラ大統領のもと厚生省の大臣(Minister of Health)も務めています。

しかし政治家としてはクエスチョンマークの人物で、少なくない失政を犯したとして批判されてもいます。

それはさておき、一体、いつどのようなタイミングで、ドラミニ・ズマ氏は、ジェイコブ・ズマ氏と別れ、なんの理由があって「ズマ」姓を名乗っているのでしょうか。

ドラミニ・ズマ氏が、ジェイコブ・ズマ氏と別れたのは、1998年のことだそうです。ドラミニ氏は、ジェイコブ大統領の3番目の妻で、ジェイコブ大統領自身は、南アフリカの一夫多妻制のもと、5人の女性と結婚し現在3人の妻を持っています。

つまりドラミニ氏は、ジェイコブ大統領のたくさん居る結婚相手の1人でしかないわけです。

しかしなぜ離婚後もドラミニ氏は「ズマ」姓を名乗っているのでしょうか。

ここからは憶測ですが、次の2つの理由が考えられます。

① 南アフリカがその点については法律上寛容であること。

② ドラミニ氏が次期大統領戦に向けてジェイコブ氏の恩恵を利用したいと思っていること(ジェイコブ氏も次期大統領としてドラミニ氏を認めている)。

ここら辺は、アフリカの文化がまだ未成熟であることの一端が、悪い意味で出ているとしか言いようがありません。

いずれにせよ、ラマポーザ氏に敗れたドラミニ・ズマ氏・・・ここまでのお話からも分かる通り、権力への執着を捨てておらず、今後も南アフリカの政情不安の火種に成りそうな要注意人物ですね。

・・・

それでは、今回はここまでです。

次回は、ラマポーザ氏の周辺についてお話したいと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。m(_ _)m

本編は続きます。