こんばんは、バールドです。オオサカ堂さんを代表とするおクスリの個人輸入代行業のクレジットカード決済問題が長期化しています。当初、私はシステム障害かと思っていたのですが(前回の記事は去年のものに成ります)、あまりにも長期化しているので、再度調べたところ、レジットスクリプト(LegitScript)という私企業の活動が、関係していることが分かりました。
連載第1回目で、レジットスクリプトという組織を概観しました。
連載第2回目では、さらに踏み込んで、レジットスクリプトによる個人輸入代行業の評価のシステムを概観しました。
今回は最後に、レジットスクリプトが個人輸入代行業を「悪質 rogue」と呼んで批判する、そのロジックを辿ってみたいと思います。
連載最終回です。
・悪質 (rogue ロウグ)。
「悪質」とここに訳された「rogue ロウグ」とは、もともと悪漢だとかゴロツキを意味する英単語です。
アメリカ初のレジットスクリプトは、同社のホームページで、こういった用語を使って、インターネット薬局を評価・判定しているわけです。
前回も見ましたが、日本の代表的なインターネット薬局に対するレジットスクリプトの判定をおさらいしておきましょう。
① アイドラッグストア → 承認できない(unapproved)。
② オオサカ堂 → 悪質(rogue)。
③ ベストケンコー → 悪質(rogue)。
「承認できない(unapproved)」については前回、説明しました。
今回は、「悪質(rogue)」についてご説明したいと思います。
・大切なのはロジックを読み解くこと。
上述のようにレジットスクリプトは、個人輸入代行業のオオサカ堂(やベストケンコー)を「悪質 rogue」と読んで批判しています。
言葉の破壊力とは凄まじいもので、これだけで個人輸入代行業は悪徳集団のレッテルを貼られたも同然です。
しかし、彼ら(個人輸入代行業)は、毒物を販売しているわけではありません。ほかのメディアで揶揄されれているように、ニセ薬を販売しているわけでもありません。
大切なのは、レジットスクリプトが「悪質 rogue」という判定で意味しようとしていること、またそのロジックを読み解くことではないでしょうか。
・「悪質 rogue」の意味。
レジットスクリプトは、「悪質 rogue」という言葉を次のとおり、定義しています。
以下にあげる文章は、オオサカ堂やベストケンコーに対する「悪質 rogue」判定に付随しているものです。
ひどく難しい文章なので、日英対訳みたいにして、ひとつひとつ訳して行きます。
「悪質」の定義。
ROGUE DEFINITION:
悪質なインターネット薬局の定義。
Definition of a Rogue Internet Pharmacy
インターネット薬品販売業者が「悪質(rogue)」と形容されるのは、それが「承認できない(unapproved)」ものであり、かつ以下の要件①②③を満たすときである。
An Internet pharmacy is rogue if it qualifies as unapproved and:
① 処方薬(prescription)または、処方されたのではない薬についての、販売、処方、扱い(dispensing)において、そこから輸入してくる国の法律規制(the laws and regulations where the drugs are dispensed from)ならびに、そこへと輸出される国の法律規制(where they are offered to be shipped to)があるにもかかわらず(defined as)、既定の法律規制を、知りつつも意図的に(intentionally or knowingly)、侵害するか、侵害を助長するか、侵害助長を企てる、可能性が十分に高い(reasonably appears to)。
(以下は原文ママです。)
The sale, prescribing or dispensing of prescription or other drugs reasonably appears to intentionally or knowingly violate, facilitate the violation of, or offer to facilitate the violation of applicable laws or regulations, defined as the laws and regulations where the drugs are dispensed from or where they are offered to be shipped to;
② 安全基準を含む、公認の医療ならび薬事の実践基準を順守していない。
Does not adhere to accepted standards of medical and/or pharmacy practice, including standards of safety; and/or
③ 詐欺的なビジネスに従事している。
Engages in fraudulent or deceptive business practices.
この定義初めの「承認できない(unapproved)」については、前回ご説明しました。
・どんなロジックか?
レジットスクリプトの「悪質 rogue」の定義ですが、そこに込められているロジックは、こうまとめられるでしょう。
要件①は、「可能性が十分に高い(reasonably appears to)」等の表現で、結局、「そう見えるだけ」でも「悪質」と言える、と述べている。
要件③も、「and/or」で「or」の可能性を残すことにより、③自体が成り立つのは絶対ではない、と留保している。
結局、要件②だけが残る。
要するに、レジットスクリプトが「悪質 rogue」で意味しているのは、要件②で述べられている、次のことだけです。
② 安全基準を含む、公認の医療ならび薬事の実践基準を順守していない。
Does not adhere to accepted standards of medical and/or pharmacy practice, including standards of safety
しかし「公認の医療ならび薬事の実践基準」の中身が分からない限り、これを順守していないことの危険性は、外部者には知りようもありません。
結局、「承認できない(unapproved)」について前回見たことと同じロジックが、ここ(「悪質 rogue」の定義)には仕込まれているように見えます。
・強い文言は威嚇にしか見えない。
よく、法律を使ってひとを脅す場合の常套手段で「~である可能性がある」という言い方があります。要するには「私にはそう思われる」という主観を上手く隠した表現です。
それと同じ手法が、レジットスクリプトの「悪質 rogue」の定義には見え隠れします。
「悪質 rogue」の定義の要件①を見直してみましょう。
① 処方薬(prescription)または処方されたのではない薬についての、販売、処方、扱い(dispensing)において、そこから輸入してくる国の法律規制(the laws and regulations where the drugs are dispensed from)ならびに、そこへと輸入される国の法律規制(where they are offered to be shipped to)があるにもかかわらず(defined as)、既定の法律規制を、知りつつも意図的に(intentionally or knowingly)、侵害するか、侵害を助長するか、侵害助長を企てる、可能性が十分に高い(reasonably appears to)。
手っ取り早くまとめれば、
輸出国、輸入国の法律規制を破っている(侵害している)可能性がある。
と言っているだけです。
「可能性がある」というのがポイントです。これを「破っている(侵害している)」という断言調にするには、レジットスクリプトは、個人輸入代行業社各社に訴訟で勝たなければならないでしょう。・・・しかし、それは一体だれのために為される訴訟なのでしょうか?消費者のため?レジットスクリプトの行為自体を迷惑に思っている消費者が居るのだとしたら?
・結論。
結局、個人輸入代行業社を詐欺集団呼ばわりする「悪質 rogue」の定義の要件③にも、同じことが言えます。それは、要件②の最後に付された「and/or」で、「そうしている(詐欺行為を働いている)可能性がある」と言っているだけです。
しかし、要件③で使われる強い文言「詐欺」についてですが、一体、誰に対する詐欺行為なんでしょうか?消費者は「自己責任」で利用しているのだとしたら?
結局、これが本連載の結論に成るのですが、レジットスクリプトの活動は、薬剤師や医者といった人達の既得権益にしかプラスに作用していないと思われます。
ここは、日本です。どうか、アメリカの「正義」を押し付けないで欲しい。
個人輸入代行業の存続を願いつつ、これで本連載を閉じたいと思います。
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それでは。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。m(_ _)m
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