YouTubeの抱える諸問題⑤:包括的利用許諾契約と著作「隣接」権。

(「このような仕方で音楽著作権に
関してすら無法状態が続いている」
出典:YouTube)

 

 

 

こんばんは、伊田です。

 

YouTubeの抱える問題は、音楽著作権に絞り込むだけでも、非常に複雑なもので、そうかんたんにまとめられるものではありません。

 

今回は一見、ユーチューバーには福音(ふくいん)に聞こえた包括的利用許諾契約について、ご説明したいとおもいます。

 

 

 

 

 


・包括的利用許諾契約。


 

包括的利用許諾契約とは、前回、通報先のひとつとしてご紹介したJASRAC(日本音楽著作権協会)が、YouTubeと結んだ音源契約のことです。

 

どんなことでしょうか。すこし読んでみましょう。

 

 

報道資料 : JASRAC と YouTube が音楽著作権の包括利用許諾契約を締結
2008年10月23日木曜日

YouTube は、このたび、日本最大の音楽著作権管理事業者である社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)との間で、JASRAC が管理する楽曲のYouTube における利用に関する包括的な利用許諾契約を締結しました。

この契約による許諾は、レコード会社が制作するミュージックビデオ等の公式コンテンツにおける楽曲の利用、ユーザーが作成するオリジナルビデオにおける楽曲の利用を含む、YouTube のサービス一般における管理楽曲の利用を対象としています。

YouTube で動画による音楽表現の大きな可能性を、パートナーとユーザーに提供し、豊かなコミュニケーションを楽しんでいただけることを期待しています。

 

 

あまりわかりやすい文章とはいえないので、要点がみえてきません。

 

ただ、ぼんやり理解(誤解なのですが)してしまうのは、どうやらYouTubeが、各ユーザー(アカウントならびにチャンネル製作者)の代わりに、音楽をはじめとする著作権付帯物使用の隠れ蓑になってくれるようだ・・・ということです。

 

 

この理解は、半分当たってます。

 

しかし半分、はずれです。

 

 

 

 


・著作権と著作隣接権の区別がポイント。


前回紹介した通報先のひとつ
RIAJ(日本レコード協会)より。

 

 

 

結論から先に述べると、上掲JASRACの包括的利用許諾契約は、たしかに著作権にかんしては投稿者(アカウントならびにチャンネル製作者)の隠れ蓑になります。

 

 

つまり、本記事トップ画像のような(Van Paugamによる)音源使用は、著作権に限って言えば、侵害にはあたりません。

 

 

しかし、です。

 

 

著作隣接権というものがあります。

 

 

著作隣接権とはなにか。

 

 

それは著作権とどう違うのか。

 

 

上掲画像をみながら、下の文章を読めば、わかるはずです(離して置いてしまってゴメンナサイ・・・)。

 

 

音楽に関わる人々と著作権

 

【著作物】・・・・著作権法では、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または美術の範囲に属するものと定義されています。具体的には小説、講演、音楽、美術、映画、コンピュータ・プログラムなどがこれにあたります。音楽CDに関しては、収録されている楽曲や歌詞が著作物として著作権法で保護されます。

 

【著作権】・・・・著作物を創作した著作者に与えられる権利

 

【著作隣接権】・・・著作物を人々に伝達する者に対し、著作物の創作に準ずる行為として実演家やレコード製作者などに与えられる権利(著作隣接権は、実演家・レコード製作者以外に、放送事業者・有線放送事業者にも与えられています。)

 

 

つまり、アーティストがOKといっても(これが著作権侵害ナシの意味です)レコード会社はOKを出さない(これが著作隣接権侵害です)

 

 

うえにのべた包括的利用許諾契約は、あくまで著作権侵害の話。

 

無垢なアーティストは、使っていいよ~といいます(著作権侵害ナシ)。

 

しかし飯のタネにしているレコード会社は断じて許さない(著作隣接権侵害アリ)。

 

だから、包括的利用許諾契約があったとしても、YouTubeに勝手に音楽をアップロードするのは許されていないのです。

 

 

 

 


・YouTubeの説明の仕方も悪い。


ふたたびVan Paugam
チャンネル削除される。
このときは
RIAJ(日本レコード協会)だった。

 

 

以上の話は、こうまとめられます。

 

 

① 著作権に関していえば、包括的利用許諾契約(上述)があるため、YouTubeは文字通り無法地帯。というか合法的無法地帯。

 

② しかし著作隣接権にかんしていえば、YouTubeでの音源使用は認められていない。

 

 

Van Paugamという人物のアカウントならびにチャンネル削除の話を以前しましたが、それは著作権ではなく、著作隣接権侵害によるものです。

 

 

しかしYouTubeは、上掲画像のように著作権でひとくくりにして説明するので、状況を混乱させてしまいます。

 

 

 


・まとめ。


Van Paugam
他のユーチューバーの
著作権も
(今回は著作隣接権ではない)
侵害している。
Van Paugamが
何回バンされているのか
正直わからない。

 

 

 

結論からいえば、ふつう私達が著作権として理解しているものは、YouTubeでも成立する、とかんがえてよいとおもいます。

 

 

ただし、実際にYouTubeなり管理団体、ならびに製作者が動いているのは、著作隣接権であることが圧倒的に多いです。

 

 

Van Paugamは上掲画像のように、他のユーチューバーの動画を違法ダウンロードして使用しているので、著作権侵害も犯しています。

 

 

他方、本記事トップ画像のようなやり方でYouTube投稿している場合、Van Paugam(の動画なのですが)は、著作隣接権侵害を侵しています。

 

 

一方で、コイツ(Van Paugam)絶対、日本のこと舐めてるだろ、とおもう一方で・・・

 

 

・・・ハムハムTVのようなチャンネルには、すぐに対処するYouTubeの規制と管理の体制には、疑問と疑念を捨てずにはいられません。

 

 

・・・・・

 

それでは、今回はここまでです。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。m(_ _)m

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