(「シリルラマポーザANC新党首」
出典:Wikipedia)
こんにちは、品川です。2017年も暮れの12月、低調を続ける南アフリカランドに救世主が現れました。シリル・ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)副大統領そのひとです。2017年12月26日現時点で、ランド/円は、実に2015年10月以来、つまり2年ぶりに9円台を付けました。
「ひさしぶりの9円台!」
こんな風に喧伝しても、あまり実感の無いひとが多いかも知れません。
理由のひとつは、きっとランドが既に、嘗ての高金利通貨の地位を、メキシコペソやトルコリラに明け渡してしまったからでしょう。
しかし何はともあれ、本当にひさしぶりの明るい話題が、ランドに訪れつつあります。その立役者が、ラマポーザ氏なのです。
今回は、そんなラマポーザ氏の”人となり”を見てみたいと思います。
連載第2回目です。
・ラマポーザ氏に聡明さは期待できるか。
(「南アフリカの歴代大統領」
クリックでWikipediaに移動します)
現職で、ランド低迷のきっかけとなったポピュラリズムの権化ジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領ですが、いろいろなところで言及されている通り小学校中退で、「算数できるのか?」という囁きさえ聞かれるほどです(下記画像参照)。
(Google検索結果より)
そもそも国のトップは、高学歴である必要はあるでしょうか。
我が国の安倍首相のエスカレーター式学歴も懸念されますが、ともかく、私自身は、国のトップたる人物は或る程度の学歴が必要だと思っています。
そんな風に考えながらラマポーザ氏に目を向けてみましょう。
ラマポーザ氏は大学では法律額を専攻、バカローリアス・プロキュレシオニス(Baccalaureus Procurationis)というー実際よく分からないですがー南アフリカで弁護士に成るために必要な学位まで取得しています。
そして労働組合(Trade Union)議長も務め、同胞の黒人たちのために頑張った過去もあります。
過去もありますが・・・・
・怪しげな一面もある。
ラマポーザ氏の経歴を更に見てみましょう。
BBCによれば、彼の経歴として目立った事項としては、以下の点が挙げられるようです。
① マンデラの後継者に成り損ねた男。
ネルソンマンデラ(Nelson Mandela 1918-2013)氏が南アフリカの英雄であることは、誰も否定しないでしょう。
1994年にアパルトヘイト(黒人差別)政策が完全に撤廃されるまで、獄中生活をも強いられていたそのマンデラ氏をサポートし続けたのがラマポーザ氏です。彼はANX(アフリカ民族会議)の一員として、1991年マンデラ氏解放の際には、組織の議長も務めました。
また、ラマポーザ氏自身も1974年と1976年に、マンデラ氏と同じく、反アパルトヘイト活動のために拘留されています。
これらの尽力にも拘らず、マンデラ氏が大統領の後継者として、ラマポーザ氏ではなくタボ・ムベキ(Thabo Mbeki 1942-)氏を選んだことは、彼のキャリアに暗い影を落としています。
② 南アフリカで最も富裕な男。
ラマポーザ氏が成功したビジネスマンであり、「黒い真珠」と呼ばれる南アフリカの富裕層の頂点に立つ人物であることは、既に広く知られています。
ラマポーザ氏がビジネスの世界に入ったのは、上述(①)のマンデラ氏からの後継者指名が受けられなかったことからの傷心によるとも言われていますが、なんにせよ彼は、ビジネスマンとしては大成功を収めました。
この成功したビジネスマンとしてのラマポーザ氏が、かつて鉱山労働者のための労働組合の議長までをも務めた彼の姿と一致しないと考える人々は、南アフリカ国内にも少なくないようです。
2012年、イギリスの鉱物資源会社ロンミンの運営するマリカナ地区のプラチナ鉱山で賃上げストライキが発生し、衝突した警官の発砲により34人もの黒人労働者が死亡したという事件がありました。
このロンミンの上層部には、事もあろうにラマポーザ氏が居ました。これをきっかけに彼は「外資の犬」とまで呼ばれています。
・ラマポーザはトランプか?
こういったラマポーザ氏のビジネスマンとしての顔を見ると、アメリカのトランプ大統領と重ならないこともありません。実際、ラマポーザ氏を扱う記事には「Make South Africa Great Again」の文字も踊っています。
しかし、ラマポーザ氏は少なくとも政治の素人ではない。
このことが少しの救いに・・・なるのでしょうか。
いずれにせよ、ランド投資家たちは、ラマポーザ氏の手腕に期待するしかなさそうです。
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今回はここまでです。
次回は、改めて近年のランドの動きを見てみたいと思います。
それでは。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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