(「ジェイコブ・ズマ大統領」出典:WorldEcnomicForum)
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こんばんは、品川です。2017年、南アフリカランドの下落、というよりも上げ渋りが続いています。世界景気の回復とともに、2017年度末には10ランド/円、すくなくとも9ランド/円には達すると予想していたかたが多かったのではないでしょうか。
しかし蓋を開けてみれば、2017年も終わろうとしているのに、8ランド/円台がやっとです・・・。
前回の記事で、基本的にランドの上げ渋りの背景には、ドルの力強さがある、と書きました。
すくなくとも私の中では、この考えはテクニカルなものです。
しかし、相場はファンダメンタルズでも動きます。否むしろ、ファンダメンタルズこそ真に相場を動かすものです。
今回は、ランド/円の上げ渋りの背景にあるファンダメンタルズを、南アフリカ国内に限定して考えてみたいと思います。
・やはりズマ大統領に対する政治不信。
(「ズマ=独占」
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2017年を通して南アフリカランドの不調を持続させて来たのは「ズマ・リスク」とでも呼ぶべき事態でした。
ネルソン・マンデラ氏から数えて4代目に当たるジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領ですが、公費の私的使用で民衆の怒りを買い続けています。
3人の妻に大邸宅・・・公費を投じて造られたという彼の宮殿は、黒人富裕層からの圧倒的支持を受けたポピュラリズムの賜物に他なりません。
・何が人気の秘密なのか?
(「ズマ不信任案否決を喜ぶ支持者」
クリックで該当記事に移動します)
最近、南アフリカ国籍で一時的に国外に住んでいるかた(以下Aさん)とお話しをする機会があったので、「何がズマ大統領の人気なのか?」たずねてみました。
Aさんによると「ズマ大統領の人気の秘密は都市部における黒人層の地位向上に尽きる」そうです。
周知のとおり、南アフリカにはアパルトヘイト以来の黒人と白人の対立があります。
その対立に切り込みズマ大統領は、大学入学から会社の採用まで「黒人を優先するように」指示する政策を取ったのだとか。
この政策が都市部の黒人富裕層にウケ、現在のズマ大統領支持層が形成されたと言われています。
しかしAさんは「農村部での環境は一向に改善していない。彼らの不満は爆発寸前だ」ともおっしゃっていました。
海外の投資家が、南アフリカのこの不安定さを見抜いてか、それとも”小学校中退”のズマ大統領の独裁そのものを嫌ってか・・・いずれにせよ、南アフリカの脆弱さは、こういった
所に見出されています。
・2019年がランド飛躍の年?
不信任決議を回避したズマ大統領。
しかしその任期は、2019年5月に終えることに成っています。
他方、「ズマ・リスク」は大きな下振れも上振れも起こさず、ただランドの上値を押さえ続けています。
ランドユーザーとしては、スワップポイントが溜まるのを気長に待ちながら、2019年のズマ大統領の退任の時期を待つ、というのが得策だと思われます。
あるいは、それ以前に目下の問題は解決するかも知れません。もちろん、良いほうへの解決を願いましょう。
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