(画像出典:山川出版社)
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こんばんは、品川です。2010年から2012年までドル/円が大低迷していた頃を振り返っています。2017年においてアナリスト達がドル/円108円そこそこで「円高騒ぎ」を起こしていることに対するアンチテーゼの記事です。
前回、東日本大震災時の市場の混乱について書かせて頂いたので、今回連載第4回目は、ギリシア危機についてお話しさせて頂こうと思います。
・ギリシア危機
(画像出典:外為オンライン)
BREXITですっかり忘れ去られてしまいましたが、EXITを初めて言い出したのはギリシアです。無計画な経済政策から国債償還に支障を来たし、ユーロ圏、そして世界へと金融不安を拡大させて行きました。
格付け会社フィッチがギリシアの国債をジャンク債に評価したのは、早いもので2011年1月、東北大震災より前のことでした。
そこからユーロ危機=ギリシア危機は、現実味を帯びて行きます。ギリシアのユーロ離脱は、当時はそれはそれは恐れられていました。そして噂が現実化します。
「ユーロ圏危機が深刻化、ギリシャの債務再編観測で」
[ベルリン/アテネ 18日 ロイター] 欧州市場では18日、ギリシャの債務再編が夏にも必要になるとの懸念が浮上したことを受け、ユーロ圏の債務危機をめぐる状況が深刻化し、ユーロ相場と一部ユーロ圏の国債価格が大幅に下落した。
複数のドイツ政府筋は18日、ギリシャが夏が終わる前までに債務再編を実施する可能性が高いとの見方を示した。ある連立政権幹部筋はロイターに対し、連邦政府内に「ギリシャは債務再編なしでは夏を乗り切れない」との見方があると指摘。「連邦政府が(再編を)後押ししているわけではないが、そのような措置はおそらく不可避だろう」と述べた。
このほか、ポルトガル支援をめぐる先行き不透明感も市場の不安をあおった。
フィンランドの総選挙で反ユーロを唱える政党「真のフィンランド人」が躍進し、政権入りする可能性が出てきたことを受け、ポルトガル支援策が容易に承認を得られなくなるとの懸念から、ポルトガル債の利回りスプレッドが過去最高水準を更新した。独連邦債に対するポルトガル債の利回りスプレッドは18日、初めて600ベーシスポイント(bp)を突破し、603bpで取引を終えた。前営業日は583bpだった。
シュローダーのファンドマネジャー、アンドリュー・リンチ氏はロイター・インサイダーに対し「ユーロ加盟国に課される財政面の拘束に対応できずにユーロ圏から離脱する国が出てくるかもしれない」と語った。
この日は欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の代表がリスボンに集まり、ポルトガル救済策に関する当局者の協議が始まった。初日の協議終了後、関係者は特に発言していない。
救済策の規模は総額800億ユーロに上ると推測されているが、ポルトガルが支援を受けるには、民営化や労働市場改革、銀行システム強化策など大規模な経済改革プランを受け入れる必要がある。関係者は、ポルトガルが多額の資金調達が必要となる数週間前の5月中旬までの合意を目指す考え。6月5日には総選挙が実施される。
ただ、「真のフィンランド人」のソイニ党首は「(ポルトガル)支援策がそのまま通るとは思わない」と述べ、支援策を阻止する考えを示した。5月中旬までに支援策が承認されなければ、欧州の首脳らはポルトガルの資金調達を支援するため、他の手段を講じる必要が生じる。
独紙ウェルトによると、ギリシャの閣僚がインタビューで、同国の債務再編は時間の問題と発言した。同紙は18日、19日に掲載されるインタビューの内容を一部公表。これによると、同閣僚は匿名を条件に「われわれが(債務再編を)実施するかどうかはもはや問題ではなく、(実施の)時期だけが問題だ」と語った。
さらに「債務再編が必要なことは最初から明白だった」と発言。「われわれは2010年初めの時点で、欧州諸国およびIMFに対し、支援策が直ちに債務再編に直結している方が望ましいとの考えを示していた」と明らかにした。
これに対し、欧州各国の政府はギリシャに「これはギリシャだけの問題ではなく、われわれはユーロ圏全体を安定させるために、時間を稼がなくてはならない。ギリシャは債務再編について協議する前に、改革を断行できることを自ら証明しなければならない」との方針を伝えるなど、危機発生時には債務再編に関して否定的な見解を示したという。
(ロイター 2011-04-19 12時44分:文章改変済)
結果的に市場に深刻な打撃を与えたのは、甚大な災害であった東日本大震災ではなく、このEU崩壊の危険を醸し出すギリシア危機の方でした。
消えては現れ、現れては消える、そんな不快感を何度も市場にまき散らしながら、ドル/円も、その負の雰囲気に呑み込まれて下落して行ったのです。
結論として言えば、黒田バズーカとアベノミクスが無ければ、いまのドル/円のV字回復は無かった、というのがその当時からFX市場を観察していた人たちの意見ではないでしょうか。
特に政策がどうのこうのいう場所ではないので、そこは触れませんが、私が本記事を通して言いたいのは、やはりファンダメンタルズの強さです。テクニカルな分析は短期トレードしか通用しません。ファンダメンタルズは予想もできない仕方で、突然やって来ます。日銀の為替介入は予想できました。しかし、黒田バズーカは予想できなかったのではないでしょうか。
最終回につづきます。
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