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こんばんは、品川です。高金利通貨3強、南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソの中からなぜ、南アフリカランドを選ぶべきなのか、ということをお話させて頂いています。連載第2回目です。
前回、各国の通貨の政策金利の推移を概観しました。その続きから話を始めさせて頂きます。
・着地点は同じだが・・・
(画像出典:外為どっとコム)
前回みた各国の政策金利から、南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソを取り出してみました。
色が対応していないの申し訳ないのですが、橙が南アフリカランド、紫がトルコリラ、桃がメキシコペソです。
上掲画像四角枠内で「2010年05月」と記されていますが、これは外為どっとコムさんでトルコリラを扱い始めた期日のようです。(追記:間違いでした。取り扱い開始は2014年。そしてチャートは2008年から記録されています。)
さて、ここから何を読み取るべきなのでしょうか。それは、着地点として高金利通貨3強は政策金利7~8%に至っているが、それぞれ異なるドラマを経て現在に至っているということに他なりません。
各通貨について、そのドラマをまとめてみようと思います。
・トルコリラのドラマ
まず最初に、トルコリラのドラマついて考えてみたいと思います。
ドラマ1. 非常に日の浅い通貨。
(画像出典:外為どっとコム)
すぐに目につくのは、上掲画像でトルコリラのグラフだけ上掲画像四角枠内で指摘されている通り「2010年05月」から始まっている、ということです。
これは、トルコリラの現通貨が2009年1月から使用を開始された、非常に日の浅い通貨だということに起因しています。
2009年に初登場した通貨だからだこそ、取引が年を跨(また)いで2010年から開始されたのです。まだ誕生数年も経っていない通貨、それがトルコリラなのです。
ドラマ2. 突然の政策金利「爆上げ」
(画像出典:外為どっとコム)
また、2014年1月には、トルコリラの政策金利は、4.5%から10%に跳ね上がっています。
どうしてこんなことが起こったのでしょうか。
一番の引き金は、トルコリラ自体の下落です。下落とは、この場合、トルコリラ安のことです。例えば、トルコリラ/円が32円だったとします。これがトルコリラ/円16円に成る、みたいなことです。こういった場合「円高トルコリラ安」と言いますよね。分からなくなったら代わりにドル/円で考えてみることをおススメします。
では、そのトルコリラの下落=トルコリラ安は、どうして起こったのでしょうか。
その前に、ひとつ押さえておくべきなのは、高金利通貨にとって自国通貨の下落は歓迎すべきことではない、ということです。これは、日本で円安=円の下落が歓迎されるのと対照的です。
手っ取り早く言ってしまえば、トルコのような国では、日本のように輸出産業が反映していない、要するに海外から自国産業を認められていないので、輸出によって外貨を獲得する手段がありません。このため、自国通貨安で、外国の通貨が強含んでどんどん出て行ってしまうと、取り返すことができなくなる。だから、自国通貨安を嫌がる、歓迎しないのです。
とにかく、こういった事情でトルコ政府がトルコリラ安を嫌がりました。
話を戻しましょう。トルコリラの下落=トルコリラ安は、どうして起こったのでしょうか。原因は、2014年あたりに起こった中国経済の不振を震源地とした世界経済への懸念だと言われています。
世界経済への懸念にせよ何にせよ、マイナス要因は「質への逃避」を促します。リスキーなトルコリラなんて持っていられない、ということで、海外勢がどんどんトルコリラを売って日本円や米ドルのような安全通貨に換金して行きます。
新興国通貨は、このような「質への逃避」の事態において、運命共同体のような動きをします。ただ、2014年の世界経済への懸念の台頭(たいとう)において、まず最初に「炎上」したのはアルゼンチンペソでした。
アルゼンチンペソは、対米ドルで約13%も大下落しました。これに対するトルコ政府の対応が無い、ということで、トルコリラ売りも加速して行ったのです。
トルコという国は自国通貨が売られて安くなることを嫌がります。結果として、トルコ中央銀行は、高金利通貨の常套手段である「政策金利上げ」によって危機を乗り切ろうとしました。
こうして政策金利の利上げが行われたのでしたが、しかし、その勢い余ってか結果は「爆上げ」で4.5%から10%に政策金利は跳ね上がってしまったのです。
トルコリラは止めるべき。
以上のようにトルコリラのドラマを見て来ると、トルコにはまだ政情不安定、経済不安定の印象をぬぐい切れません。
4.5%から10%への爆上げは、その現れ以外の何ものでもないでしょう。
確かに、前回お話しさせてもらった通り、仮に爆下げなるものが起こったなら、ぞれは新興国には良いことです。それだけ自国通貨が安定して来た、ということの現れなのですから。
爆発的ではなかったですが、漸進的なその例として、前回、豪ドルの政策金利の淪落(りんらく)を見ました。それはオーストラリア経済の良い兆候を示していたのです。
では、経済的によくないトルコリラは爆下げの道が無くて上がるばっかり・・・と事態をプラスに考えるべきでしょうか。
私はそうは思いません。通貨としての安定性の無さから、FX会社が取り扱いを中止する、その可能性が高いと考えているのです。
少なくとも、政策金利の変異に基づいて見て来たここまでのドラマから、トルコリラはその可能性が一番高い、と言わざるを得ません。
だから、トルコリラは止めた方が良い、というのがここでの結論に成ります。
つづきます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。m(_ _)m
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