ランサーズやクラウドワークスはブラック企業? その4

(画像出典:lancers, crowdworks)

こんにちは、伊田です。

クラウドソーシング企業の代表である、ランサーズクラウドワークスについて記事を書かせて頂いてます。

前回ランサーズで起こった最も大きな事件のひとつと言えるDeNA事件の概要をお話ししました。

今回は、その事件の問題点を、ランサーズに重心を置いて論じてみたいと思います。


・キュレーションサイトの台頭。


(画像出典:NAVERまとめ)

DeNA事件の様な問題が起こってしまったことの背景には、キュレーションサイトの台頭(たいとう)がありました。

キュレーションサイトとは、博物館などの学芸員(=キュレーター curator)の様に、既製のものーこの場合はインターネット上の情報ーを集めて来て、展示する(キュレート curate)するサイトのことです。

代表的なのは上掲画像にある、NAVERまとめさんですね。

NAVERまとめさんが大繁盛していることからも分かる通り、キュレーションサイトはPVを稼げます

だから、広告収入を目指し、かつ特に何をやりたいわけでもないサイト運営者は、まずもってキュレーションサイトに手を出すわけです。

前回、お話しした通り、DeNA医療系サイトWELQ(ウェルク)を運営していたのも、まったく同じ事情でした。

特に志(こころざし)はない・・・。

いわば、嘗てTBSDREAMとかHERO’Sいった総合格闘技の番組をやっていたのと同じ考えで(失礼)、DeNAWELQを運営していたわけです。


・誰に書かせるの?


(画像出典:ランサーズ)

もともと興味が無いから、自分で書く気なんてサラサラ無いわけです。勉強するなんて、もってのほかです。

かと言って専門家に書いてもらえば、莫大な原稿料がかかる・・・。

そういうわけで、DeNA自社運営の医療系サイトWELQに載せる記事の源泉として目を付けたのが、クラウドソーシング企業ランサーズのやっていることでした。

DeNAが当時考えていたことはこうです。

「狙いはPVだから、記事のレベルは気にしない。やって欲しいのは、グーグルの検索にヒットする(文章と言うより)文字列をキュレートしてくれる誰かだ・・・。」(引用ではありません)

その「誰か」は居ました。しかもたくさん。

ランサーズには、上掲画像のようなライティングのタスク案件というものがあります。

その案件として1記事400円も払えば、1,000字くらいで医療記事をキュレートして(まとめて)くれる「自称ライター」がゴマンと、そこ(ランサーズ)には居たのです。

DeNAは、それに目をつけて大量に医療記事の発注をしました。

そんなことして大丈夫?医療情報だよ?ランサーズさん、しっかり注意してくださいよ!

それはあり得ない話でした。ランサーズには良いお客さんだったのです。何がって、DeNAという大口のお客さんです。

400円のタスク案件が完了すれば、自分(ランサーズ)には80円ほど入ってきます。

そういった案件の消化が、一日に何百も何千も続きます。ランサーズは見ているだけで、チャリーンチャリーンとお金が入って来ます。

まさに現代の錬金術と言うべきでしょう。


・実はライターのほうも無責任。


(画像出典:Croco株式会社)

DeNAは、そもそも医療系の記事内容に興味なんかありませんでした。

ただ、グーグル検索にヒットする文章というよりも文字列が欲しかっただけです。記号列と言っても構いません。

こういうグーグルのような検索エンジンに対する対策を、業界ではSEOと言います。Seach Engine Optimization(検索エンジンに対する最善化対策)の略語です。

仲介するランサーズも、DeNAは大口のお客さんだったので、記事発注企業(DeNA)作業者(ライター)のやり取りに介入することはしませんでした。

・・・というか、売り上げに目が行って、そんなのはクレーム待ちと考えていたのでしょう。法的に(ランサーズが)自己防衛する手段は、幾らでも思い浮かびます。

例えば、よくある長ーい契約文書を、サイト上で「同意」させるという手が考えられます。インターネット上で事業をしている企業が使う常套手段ですね。(あれ、どうにかならないもんですかね・・・。)

話がそれました。

さて、DeNA(記事発注企業)も、ランサーズ(仲介企業)も、医療情報の記事だというのに中身に全く関心がありませんでした。

では、その記事を書いているライターさんたちは、どうだったのでしょうか。

残念ながら、彼ら(ライターさんたち)も、記事内容に関心なんかありませんでした。理由は、いくらでも挙げられます。

理由1まずもって、ランサーズのライティングタスクの案件には、制限時間があります。制限時間内に終了させるゲームみたいに、ネット上を駆け回って、(この場合は)医療情報をキュレートしなければらないのです。文章の推敲なんてもってのほかです。

理由2。仮にタスクではない案件として、ライターさんが医療記事を受注していたとしても、やはり記事の中身には興味がわきません。まず、書いたところで、DeNA運営のWELQ著作権から何から全部引き取った上で「名無しの権兵衛」として記事をサイト上に掲載するわけですから。要するに、ライター視点で言えば「自分の仕事」と言えない成果に成ります。

理由3。だから結局、お金目当てに成ります。というか、ランサーズのライティング案件で、その仕事内容に興味を持っているひとなんかいないでしょう。どうせ「名無しの権兵衛」の仕事として引き取られるわけですから。

理由4。確かに「名無しの権兵衛」でない形で掲載してくれる記事発注者も居ます。ただ、たとえそうだとしても、自分の書きたい記事を書ける機会なんてほぼ皆無なのでライターさんの記事内容に対する無関心さに変わりはありません。しかもよりによって、そういう発注者に限って記事内容の書き直しとか却下をバシバシして来るので、賢いライターなら楽な仕事=内容に関心はないけど早くできる仕事を選んでいるはずです。

・・・まだまだ理由はありますが、こんなので雰囲気はお伝えできたと思います。

こういうわけでDeNA事件では、DeNA(記事発注者)ランサーズ(仲介企業)ライター(記事受注者)・・・誰一人として肝心の記事内容に注意を払う者が居なかったのです。

実は、ここにクラウドソーシング企業の犯している罪というか問題の核心があると考えられます。

なぜなら、このDeNA事件の問題性は、この事件で終わったのではなく、今現在も刻々とランサーズなりクラウドワークスのサイトで再生産されているからです。

この意味で、ランサーズやクラウドワークスは、たとえ本人たちが何と弁解しようと、過失に似た形でDeNA事件と同じ問題を、今この現在も再生産している・・・。そういう意味でのブラック企業だと言えるのではないでしょうか。

これを読んでくださっている方は、どう考えられるでしょうか。

では、今回はここまでです。

次回は、クラウドワークスに目を向けて、引き続き考えて行ってみたいと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。