(画像出典:lancers, crowdworks)
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こんにちは、伊田です。
クラウドソーシング企業の代表である、ランサーズとクラウドワークスについて記事を書かせて頂いてます。
前回と前々回で、ランサーズが遭遇したDeNA事件をご紹介しました。
一面において、ランサーズ(仲介企業)と発注企業は、DeNA事件の教訓を活かしているはずです。
それはそうです。いまやランサーズは大企業。DeNA以上の一流企業の仲介をしていることはホームページを見れば一目瞭然です。今後、更なるサービスの改善が期待できます。
しかしその一方で、ライティングタスクといった底辺の仕事ではDeNA事件が起こったことと同じことが繰り返されています。
いまも尚、DeNA事件と同様の問題が起こる火種は、クラウドソーシング企業の体質に依然として残っているのです。
では、この問題は、ランサーズだけのものなのでしょうか。
そうではありません。クラウドワークスも、全く同じ問題を抱えているのです。
今回は、そのクラウドワークスを中心に、業界の難点を見極めて行きたいと思います。
・ブログ炎上事件。
(「社長緊急対談」出典:日経ビジネス
ークリックで該当記事に移動します)
クラウドワークスに関して言えば、DeNA事件の様な大きな事件は起こしていません。
ただ、DeNA事件の起こった2016年の3年前、2013年にブログ炎上事件に巻き込まれています。
この「ブログ炎上事件」は、フリーランスの梅木雄平氏が、クラウドワークスとの比較でランサーズのサービスを批判をした記事をブログ上に投降したことから始まりました。炎上したのは、梅木氏のブログ界隈です。
まず、梅木氏とクラウドワークスが「結託してランサーズを貶めようとしているのではないか」という憶測が広がりました。
そこに(話がこんがらがりますが)この話に関係無いはずのGMOインターネットの世永玲生氏が、匿名のTwitterアカウントを使い、ランサーズを保護し、クラウドワークスを批判するネガティヴキャンペーンを始めたのです。
ここに世永氏とランサーズが「結託してクラウドワークスに反逆しているのではないか」という憶測が更に広がったのです。
ランサーズとクラウドワークスは、業界の押しも押されぬビッグ2ですから、この対決は大いに盛り上がりました。・・・結局、憶測に基づいたものだったのですけれども・・・。
いろいろあって、最後は上掲画像の通り、ランサーズとクラウドワークスの両社長ががっちり握手で和解と成りました。・・・和解も何も、全部憶測だったのでケンカすら事実無根だったわけですが・・・。
・クラウドワークス > ランサーズ?
(画像出典:lancers, crowdworks)
さて、クラウドワークスについてよく言われるのは「それがランサーズより良い」ということです。
そう言った時、大体あげられる理由が、クラウドワークスの方がシステムが使いやすいという点です。
確かに、クラウドワークスの方はスマホ用アプリなども開発しているので(発注企業と受注ライターとの間の)仕事のやり取りが非常に迅速に行われます。
しかし、根本的なサービスにおいて、ランサーズとクラウドワークスはまったく同じです。
「根本的なサービス」とは、受注者としてライターなりエンジニアさんが気にする、①報酬からの仲介料の天引き、②仕事を発注している企業などのリスト・・・などです。
① 仲介料の天引きですが2割行くか行かないかくらいです。500円の仕事をしたら100円取られます。ランサーズも、クラウドワークスも同じです。
② 仕事を発注している企業のリストですが、余程の大口で無ければ、ほとんどの企業がランサーズとクラウドワークスに二股発注しているので、ここでもサービスに差は出ません。
だから、よく見ると、ランサーズ=クラウドワークスです。
システムだって、ランサーズにも良いところがあります。例えば、発注者とのやり取りのシステム(チャット形式)は、ランサーズの方が使い勝手が良いですね。
・クラウドワークスの改善すべきところ。
炎上事件程度の出来事しか起こさず、サービスでランサーズを「上回っている」(私はそうは思いませんが)という意見さえあるクラウドワークス。
本当に問題は無いのでしょうか。
そうでもありません。本当に些細なことですが、クラウドワークスにはちっちゃな問題が山積しています。
何よりもまず、言及しなければならないのは、謎の出金期限制度ですね。
当サービスでは、報酬の出金申請期限を報酬支払い確定日から180日後までと定めております。…支払い確定した報酬は、出金しないまま180日を過ぎると出金できなくなりますのでご注意下さい。(クラウドワークスホームページより。一部改変済み。ここクリックで該当ページへ移動。)
この制度、まったくもって意味不明です。何で稼いだカネ、出金しないと封印されるんでしょうか?
出金ごとに手数料取られるのだから、ライターさんなどみな、180日くらい余裕で出金しないで貯めるはずです。気づかなかったら、どうするの?
まったくもって不快で理解不能です。
ちなみに、この制度はランサーズの方ではありません。
・変な発注者が多い。
(「タスク案件」出典:クラウドワークス)
特に報酬の低いライティングタスクをしていると、誰もが変な発注者に遭遇したことがあると思います。
もちろん上掲画像の方々がそうだと言っているわけではありません。そこら辺のリテラシー(文章理解能力)は、何卒お願いします。
さて、その変な発注者ですが、だいたい、出会い系サイトに登録したら報酬○×円など、他のアフィリエイトを持って来てやらせることが多いです。・・・もちろん報酬なんて支払わないで、バックレられます。
あとDeNA事件の更なる劣化版の発注者も居ます。自分のブログの記事を書け~だとか、日記かけ~だとか、そういった類です。
他に「世界を変える仕事を一緒にしましょう!」などという、見るからに絶対関わりたくない発注(?)もあります。
グチついでに言わせてもらえば、「さわやかになるためには?」みたいな、どうやって制限時間内に記事完成させるんだ?と思わずにはいられないゆるゆるの発注もあります。・・・もちろん、こんなのに手出したら却下されるに決まっているので、触らぬ神に祟りなしです。
こういった変な発注者は、クラウドワークスで遭遇する確率の方が圧倒的に高いです。
もちろん、ランサーズにも居ます。画面いっぱいに自分の案件を連射して、ほかの案件を見ることできないようにしている発注者とかです。(アンタのことだよ!)
・むすび:ブラック企業ではない。
いろいろ書いて来ましたが、本連載は、ランサーズとクラウドワークを潰すために書いたものではないこと、そこをまず理解していただきたいと思います。
もちろん、本サイトのニュースメディアとしての関心として、書かれた記事もあります。
いずれにせよ、ランサーズとクラウドワークスはブラック企業ではありません。というか、成ってもらっては困るのです。
何だかんだ言って、ランサーズとクラウドワークスは、ネット上で仕事をするひとたちにとって、今や欠かせない存在に成りつつあります。
そういうインフラ企業の次元に達しようとしているのです。
どんな仕事でもイチャモンつけようとすればできるように、彼らの作り上げているシステムとか制度には、いくらでもグチを言うことはできるのです。
しかし彼らが居なくなって困るのは、結局のところ私達ではないでしょうか。
仲介企業としての利益追求、そこに参与する労働者の利得、発注する企業のニーズ・・・いろいろな要素が絡み合って、新しい働きかたが生まれようとしています。
そんな切磋琢磨の時期に、クラウドソーシング企業は入っているのです。
頼むから、ブラックにならないでね。
それが本連載を通して伝えたい、切なる願いです。
以上で、本連載は終わりです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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