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こんばんは、伊田です。
インターネット上の著作権問題について記事を書かせて頂いています。連載第3回目に成ります。
いよいよ皆さんが恐らくは知りたいだろうと思う、著作権侵害の問題に踏み込んで行きたいと思っています。
・ワンクリック詐欺化している。
インターネット上の話を拾って行くと分かるのは、このネット上の著作権問題が、いまやオレオレ詐欺というかワンクリック詐欺というか、そういった準犯罪的な行為の温床に成っている、ということです。
その行為を実行してカネをせしめた「武勇伝」を得意げにブログで語る者。
その行為をされ怯え切って逆にブログで告白して不安を和らげようとする者。
ネット上の著作権問題は、いまやそういったブロガーのトレンドさえも生み出しているのです。
恐らく、既にそういった準犯罪行為を組織的に始めている者たちは存在するでしょう。
だから言いたいのです。
「著作権侵害の連絡が来たら、対処方法はオレオレ詐欺やワンクリック詐欺への対処法と同じ。初動としては、反応しないこと。」
この一言が、いずれ誰かを救うと確信しています。
・民事なのか刑事なのか。
先に上の話をしてから、この項目の話に移りたいと思っていました。
なぜなら、多くのサイトでは、先にこれから述べられているようなこと(著作権問題の民事性と刑事性)ばかりを書き連ねているからです。
しかしそこには決まって「専門家」の分かりにくい説明と、Wikipediaのコピペと、結論だけはストレートな脅し文句が並びます。
愚痴って、すみません。
さて、著作権侵害についてですが、それは民事事件に分類されるのでしょうか、刑事事件に分類されるのでしょうか。
答えは、残念ながら両方です。
・民事訴訟の対象としての著作権侵害。
著作権侵害が民事事件として扱われると、どうなるのでしょうか。
著作権法では、第7章(著作権法第112条から第118条)、その名も「権利侵害」が、この点について述べている箇所です。
ただ、事細かな話は置いておき、判例を見るのが一番でしょう。ネット上の著作権侵害を巡っていったいどんな判例が蓄積しているのでしょうか。
例1.ヨミウリ・オンライン事件(2005年)
ほとんどの著作権侵害のニュースが、著作権侵害に科される罰金、つまりその刑事性に焦点を合わせているのに対し、著作侵害の民事性を扱った判例として名高いのがこの事件、2015年ヨミウリ・オンライン事件です。
読売新聞社とYahoo!との一騎打ち!という如何にもスケールの大きな民事裁判でしたが、結局、判決は、被告であるYahoo!が、原告である読売新聞社に損害賠償金23万7741円を払う・・・という小規模なもので終わりました。
なんでも、事の発端は、Yahoo!がニュースサイト上で、読売新聞社のオンラインページにおける見出しを使っていた、というところにあったようです。
見出し・・・の著作権・・・。
例2.ハワイアン・アート・ネットワーク事件(2012年)
よりせせこましい・・・と言ったら失礼ですが、リアルなのは、こちらの事件、2012年ハワイアン・アート・ネットワーク事件です。
これは、日本で旅行業(旅行代理店?)を営む人物が、アメリカ正確にはハワイのハワイアン・アート・ネットワークという有限会社から訴えられた事件です。
訴訟の焦点は、その旅行業を営む人物(個人事業主?法人?)が、自分のブログにハワイアン・アート・ネットワークに独占的利用許諾権を与えたプロ写真家の写真を、無断で転載した、というところにありました。
判決は、被告である旅行業の人物が、原告であるハワイアン・アート・ネットワークに15万円の支払い命令・・・。
ストレートに言いますが、ハワイアンネット・アート・ワークにせよ、プロ写真家にせよ、この判決は実質的に敗訴でしょう。
15万円だったら、諸々の労苦と弁護士費用(※)を考えたら、まったく元を取れません。
(※ただ、弁護士費用については敗訴者負担制度という不可解な制度が検討された時期もあるようです。)
ただ、私がこの判決を読んでいて不快に思ったのは、やはりハワイアンネット・アート・ワークも上述のワンクリック詐欺的なことを行っていたということです。
つまり、損害金10万円の支払を求める旨を記載した警告書、損害金残額19万円の支払を求める旨を記載した警告書、この2通を旅行業を営む人物に送付していたということです。
なぜ、この点が裁判で焦点に成らなかったのでしょうか。ここを容認することが非常に危険だと私には思われます。
今回はここまでです。
かなりバイアスのかかって記事ですが、賛成反対いずれにせよ批判的に読んで頂けたらと思います。
本編は続きます。
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