こんにちは、伊田です。
私自身も、大学院まですすんだ者なので、それがどういったものなのか、おぼろげながら理解しています。
・2019年に問題として浮上する
2018年9月7日早朝
九州大学箱崎キャンパスで、
法学部大学院を中退した男性が、
廃棄される研究棟に放火し、
みずからも自殺した。
現在でもチラホラみかけるのですが、大学院進学に対するメシウマ記事・動画が一時期、量産されたのを、ご存知でしょうか。
その皮切りになってしまったのが、西村 玲(にしむら りょう 1972-2016)さんの死でした。
2016年2月2日のことです。
奇妙なことは、この事件は、2018年に九州大学で大学院生が起こした放火自死事件(上掲画像)と一緒になり・・・
マスメディアでの大学院生への好奇の目を増長させてゆきました。
西村さんの事件(2016年)と、九州大学(お名前非公開みたいですね)の事件(2018年)・・・
ふたつの事件はズレているようにみえますが、共通しているのは、それらがメディアに登場した時期です。
ともに、2019年でした。
2019年3月26日(火) 放送、NHK事件の涙・選「そして、研究棟の一室で~九州大学 ある研究者の死~」 22時45分~23時10分
・
小宮山亮磨 2019年4月10日 7時21分 「家族と安定がほしい」心を病み、女性研究者は力尽きた:朝日新聞デジタル
NHKの放送の方は、現在視聴できません(その内、誰かYouTubeにアップしてくれるでしょう)。
九州大学研究棟放火自死の報道だったのですが、ただそれは、大学院生の自殺というより、放火自死という謎めいた事件の側面もあったとおもわれます。
或る種の謎としての、つまり、事件としての事件ですね。
それを、大学院生の問題として拡大させたのが、朝日新聞の記事でした。
それが、西村玲さんの事件だったのです。
・西村玲さんの事件まとめ
九州大学の大学院生の事件は、置いておきましょう。
西村玲さんの事件を、簡単にまとめると、以下のようになります。
① 優秀な成績・業績をのこし大学院修了
↓
② しかし、大学でのポストを得られなかった
↓
③ なので、結婚をした
↓
④ 結婚相手が精神病もちだった
↓
⑤ 結婚後、その事実(精神病)を知った玲さんは離婚を決意
↓
⑥ 同時に失意のなか、自殺にいたる。
①~⑥のストーリーとして、まとめられます。
・ストーリー論争
実は、うえに述べた①~⑥の”ストーリー”には賛否両論が起きています。
否定の代表が、西村玲さんの師(厳密には、もうすこし複雑な立ち位置での指導関係にあったみたいです)、末木 文美士(すえき ふみひこ、1949-)氏です。
次のような強い言葉で、上記①~⑥の”ストーリー”を否定しています。
2020年6月 8日 (月)
原点のフェイク記事問題に戻り、研究者のあり方を考える・
[朝日新聞の記事は]2016年2月2日に43歳で自ら命を絶った研究者西村玲氏に関するもので、彼女が就職を得られないために追い詰められて自死したというストーリーで、そこから、博士課程を修了しても就職のない若手研究者の窮状へと問題を持っていくというものでした。
それは広く共感を呼び、多くの反響がありました。私は、彼女を学術振興会の特別研究員として受け入れ、その後、共同研究を共にしてきたこともあり、記事に私の名前も出てきます。
けれども、多少経緯を知っているものから見る時、この記事は明らかなフェイクです。すでに指摘してきたように、彼女の自死は結婚に問題があったためであり、決して就職がなかったためではありません。記事ももちろん、結婚のことに触れていますが、あたかも就職がないために、誤った結婚をしたかのような書き方になっていて、いわば、無就職(→結婚)→自死のように、よほど慎重に読まないと、結婚を飛ばしてしまうような書き方になっています。
そもそも、就職がないから、よく調べずに変な相手と結婚したなどというストーリーは、まともに考えれば絶対にあり得ないことでしょう(逆に就職がないから結婚できないという話ならば、実際にたくさんあります)。それなのに、そのようなあり得ないストーリーを信じ込ませてしまうのが、フェイク作りの記者の腕前ということです。
・かなり奥が深い
・・・以上が、本連載の出だしになります。
かなり奥が深く、それは学者同士の言い争いにも発展しているようです。
一時期、私は、この事件にのめりこんだのですが、記事化は躊躇していました。
ただ、時期的にも、いまならまとめられるかな、とおもったので記事化することにしました。
すぐ情報過多になるので、すこしずつまとめてゆきたいとおもいます。
・・・・・
それでは今回はここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。m(_ _)m
つづき(他サイト):西村 玲さんの死②:非難と対立