エリフ デミレツァーさんのニューアルバム その3(終)

(画像出典:anthroscape

 

こんばんは。みゅじ子です。エリフ デミレツァー(Elif Demirezer)さんが、さる2017年5月にニューアルバムDoppelleben(ドッペルレーベン)を出しました。そのレビュー(Besprechung ベシュプレッヒュング)を書かせてもらっています。

 

 

エリフさんの世界観は第1作Unter meiner Haut(「私の肌の下で」―もう少し違う意味でしょうが…)で完成した印象がありました。

 

その完成した世界観を壊すのか、保つのか、興味は尽きなかったのですが、Doppellebenの前半を聴く限り、実験的な意味で、前作の世界観を壊しに行ったというのが正直な感想でした。

 

 

 


・でも、Unter meiner Hautの世界観は残っていた。



 

Doppellebenの前半を聴く限り、Unter meiner Hautの世界観は実験的な仕方で崩されています。私にはそれが少し残念でした。同じような感想を持ったひとは少なくなかったと思います。

 

しかし、これはドイツらしい職人気質というか完全主義というのでしょうか、clueso(クリューゾ)のアルバムなんかもそうなんですが、ドイツのアーティストさんたちのアルバムは、後半が実にしんみりとした良い出来であることが多いです。

 

Doppellebenもそうで、後半というか6曲目からエリフさん“らしい”ことを始めます。

 

 

 


・6曲目以降は、じっくり聴かせてくれる。



 

 

「6曲目」なんて言われてもピンと来ないでしょうから、上掲プレイヤーで聴いてみてください。6曲目以降のラインナップはこんな感じです。

 

 

06. Schwarz, Weiβ, Grau  「黒、白、灰色」

07. Anlauf nehmen 「再出発」

08. Auf halber Strecke 「道の途中で」

09. Schön, dass es dich gibt 「君が居て良かった」

10. Wo bist du? 「どこに居るの?」

11. Panoramablick 「パノラマの眺め」

12. Hight5 「ハイファイブ」

13. In deinen Augen 「君の目に」

14. Du hast einen Platz 「居場所」

 

 

訳は、ホントざっくりでゴメンナサイ…。

 

ただ、Unter meiner Haut(前作)の曲のネーミングセンスと比べたら、ずいぶん改善されているという感じです。

 

 


・8曲目がスバラシイ…。



 

 

で、ワタシがおススメするのは、08. Auf halber Strecke「道の途中で」です。

 

上のPVだと完アコでバックの演奏が無いのですが、アルバムバージョンは本当に素晴らしいです。

 

曲の広がり方といい深さといい、これぞ期待していたものという感じです。この1曲のためにアルバム買ってもいいかな…という感じもします。

 

少し歌詞も見てみましょう。

Du sagst, ich pass’ hier grad nicht rein  君は、僕がもうココに馴染まない(※)って言う。

Du willst nicht mehr hier sein 君も、もうココに居たくないって言う。

Denn du weißt nicht was du willst だって、君は自分が何を望んでいるのかも分からないんだから。

(※ grad=gerade, rein=hereinで訳しています。)

 

 

変に逆説的な歌詞ですが、歌詞全体がそんな、逆説的と言うか皮肉な言葉遊びを続ける感じなので、こう訳してみました。

 

次がサビです。

 

 

Auf halber Strecke geben wir nicht auf 道の途中で、諦めることなんかしない。

Auch wenn du fliehen willst, dann lauf もし逃げたいのなら、

Einfach weiter geradeaus ただはるか遠くに走り去ればいい。

Auf halber Strecke ist es genauso nah wie weit 道の途中では、近いも遠いも一緒。

Selbst wenn ich dich tragen muss たとえ君を連れて行くのが大変だとしても、

Ich tu’ es bis zum Schluss 最後までやってみせる。

Ich tu’ es bis zum Schluss 最後までやってみせる。

 

 

訳していて、ぼんやり思ったのですが、これ男性視点の歌詞かな、と思いました。

 

そうなら、PVのエリフさんの妙に男の子っぽい服装も腑に落ちる所がありますね。

 

 


・むすび。


 

いかがだったでしょうか。

 

意図しない仕方で長引いてしまいましたが、3回、エリフ デミレツァー(Elif Demirezer)さんのニューアルバムDoppelleben(ドッペルレーベン)について書かせて頂きました。

 

とにかく、彼女のドイツ語は素晴らしいです。

 

こんなに淀みなくドイツ語で歌う歌手は稀(まれ)でしょう。

 

ドイツ語はあの音の感じがどうにも…」という方も、ぜひエリフさんを聴いてみてください。

 

きっと、ドイツ語が大好きになるはずです。

 

・・・・・

 

それでは。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。m(_ _)m

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